君が大好き (ページ12)

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しばらくスパイみたいに兄ちゃん達と距離を上手に空けながら雄也と歩いていると、だんだんと賑やかな繁華街から離れていった。
そして話には聞いた事があるけど、行った事のない、それはそれで賑やかな場所に入り込む。
「………雄也、ここって。」
ズキズキどきどきに加えて、違う意味でのどきどきが大きくなりながら何とか声を出す。
雄也は答えない。
兄ちゃん達がある建物の中に入って行った。

男どころじゃない、こんな所。
いや、きっと今までも来てたんだろうな。

呆然としていると、
「外で待ってると誰かに見つかるかもしれないから入ろう。」
雄也に言われて、はぁ？となる。
「えっ？見つかるって、同じ学校の奴になんてこんな所じゃ誰にも見つからないんじゃない？なのに入るの？？」
意味が分からなくてまばたきを繰り返してると、雄也が俺の顔を正面から見てきていたずらっ子みたいに、

「聞くなよ、そんな事。………お前が好きだから仕方ない。」

ふふっと笑って、繋いでいた手をぐっと引っ張ってくる。
そして入ってしまった。
雄也と一緒に、初めてホテルに。