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立ち止まる。
中途半端に遠くて近い距離で。
「ごめん、慧。弟が心配だから。」
人混みなのに、人がいっぱい見てるのに、兄ちゃんがその人を抱きしめる。
「嫌だよ。たまにはいいだろ。ゆーとを独り占めしたい。…お泊まりしなくていいから、お願い。」
そんな兄ちゃんに甘えるようにその人が、
「…………ゆーと、抱いて。」
と、言った。
頭の中が真っ白になる。
何とか立てているのは、雄也がそっと俺の肩に腕を回して支えてくれているからだ。
俺だけの兄ちゃんだったのに。
兄ちゃんが何も言わずにその人のおでこにキスをして、
「………行こう。」
手を繋いで歩き出した。
キスとか抱いてとか、兄ちゃんも男だったんだと、寂しさと変な気持ちでズキズキどきどきしてる俺の肩から腕を外して、
「俺たちも行こう。」
雄也が俺の手を繋いで歩き出した。
兄ちゃん達の後をつけるように。
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月11日 1時
