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「離れたくない。伊野尾と一緒にいたい。」
正直に言えば、随分と子供みたいな言い方になってしまう。
だけど伊野尾は笑わない。
「俺も。」
それだけ言って、また俺の気持ちを膨らませるだけで。
「好きだよ。」
膨らんだ気持ちを言葉にすれば、伊野尾が泣きそうになるから、抱きしめてみたいと思った。
だけどできないから、繋いだ手をゆるめて指を絡める。
その時だった、恋になったのは。
激しい胸のドキドキが怖くて黙って歩き出す。
絡めた指をぎゅっと繋いで。
「……俺、伊野尾に恋したよ。」
ぼそっと呟けば、伊野尾の指も強く絡んでくる。
「…………俺は中島にずっと恋してたよ。」
伊野尾の声が胸に沁みて広がった。
お嫁にしたい人に恋をして、その人も俺に恋してる。
夢が少し迷い出した。
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作者名：すみれ | 作成日時：2024年1月6日 1時
