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『背が高いね。俺も低くはないけど。』

1年になったばかりの4月、隣同士のクラスだった俺たちは体育の授業が一緒だった。
『俺さ、ストレッチするのに1人余っちゃったんだ。一緒にしてくれない?』
準備運動を始めようとした俺に声をかけてきたのが慧だった。
顔は知ってた。
可愛くて美人さんですでに有名だったから。
『いいよ。』
笑ってオッケーすると嬉しそうな顔をした。
背中を合わせて腕を伸ばしてから慧の華奢な手首を掴んで、そのまま背負うみたいにしてよいしょと前屈みになる。
ぐんと俺の背中で仰向けに伸びながら慧が言った。


『……いい天気。薄い青の空が綺麗。こうやって中島くんの背中で、真っ暗な夜空も見てみたいなぁ。』
のんびり、柔らかい声で。


いいなと思った。
素直で、でも変わってて不思議で。


背中から慧を降ろして、
『いつか見せてあげる。』
そう言うと、
『………いつか、ね。約束だね。』
微笑んだ。


恋に落ちる、その意味を俺はこの時に知ったんだ。

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作者名:すみれ | 作成日時:2023年12月28日 1時

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