夜空にきらきら、星が降って (ページ8)

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廊下の壁にもたれて携帯を触ってる髙木が見えて、なんでなんでと内心焦りながらゆっくりと歩き始める。

髙木、俺の好きな人。
入学式の日に一目惚れした人。

前を通り過ぎる時に心臓がありえないくらいにどきどきする。
でも、俺の存在に気付かないかな、たまたま声をかけられないかな、そんな夢みたいな事を考えながら通り過ぎるのは一瞬の出来事で。
そして当たり前に何も起こらずに、少し、いや、かなりがっかりして終了、おしまい。

こんな事の繰り返し。
何ともならない片想い。

辛い、でも顔を見れたのは嬉しい、そんな複雑な気持ちでいると、
「暖かそう。」
声が聞こえた。
ん？？と振り向くと、髙木が微笑みながら、
「マフラー、ふわふわだ。オレンジ似合うね。……桜も似合ってたけど。」
そう言ってくれた。
俺が息を呑むと、髙木が頭を下げて教室に入って行く。
俺も慌てて頭を下げる。
そしてその背中を見つめれるだけ見つめた。
覚えててくれたんだって。

どきどきが止まらない。
何ともならない暗い片想いに、オレンジとピンクの色が鮮やかについた。

何とかなるかもしれない、そう俺を惑わすには十分過ぎる程に。