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イスに座る俺に、
「本当に別れたの?仲良さそうだったけど。手、握ってたし。」
今度はパックのコーヒー牛乳をちゅうちゅう飲む大ちゃんが、ストローから口を離して首をかしげるから、
「別れたよ。あれは………その、俺の慧への好きが溢れて勝手にした事だし。」
ふうっとため息をつけば、
「好きが溢れる。ちょっと分かる。」
ぱちぱちと大ちゃんがまばたきを繰り返した。

大ちゃんにはこの高校に入学した日に一目惚れをして、それからほぼ2年間、片想いをしてる人がいるんだ。

俺が、
「分かってくれて嬉しいよ。溢れるよね、好き。」
笑うと、
「溢れるよな、好き。」
大ちゃんが笑ってから、
「裕翔、諦めるのはきっと早いよ。自販機の方、見てみなよ。」
優しく言ってくれるから見てみた。


ペットボトルを抱えて慧がこっちを見てる……気がする。
しかもはにかんで手を小さく振ってくれた。


気のせいかと思ったけど大ちゃんが、
「な、すぐに振り返してくれたから裕翔の方を見てたんだよ、きっと。裕翔に未練ありありだよ。」
そう言って手を振っていた。



だとしたら、諦められない。
まずはどうして上手くいかないと慧が思ったのかを聞き出すんだと、自分に固く誓った。

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作者名:すみれ | 作成日時:2023年12月28日 1時

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