キスと笑顔 (tk×ar) (ページ10)

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「……先輩、もう大丈夫ですから。」
背中をさすり続ける俺に有岡が小さな声で断ってくるから、
「いや、もう少しこうさせて？肩抱いてキスするか迷ってるんだ。」
正直に答えると、かあっと有岡が頬を真っ赤に染める。

自分でキスしてもいい、なんて言ったくせに照るのかよ。
……めっちゃ可愛いんだけど。

どきっと大きく心臓が鳴って、すっと背中から指を離した。
ヤバい、マジでキスしそうと、俺は一旦落ち着くために自分の席に戻る。
それから何とか心臓を落ち着かせてから有岡の方を見ると、まだ頬が赤いままじっと俺を見ていた。
有岡はまたドキッとしてる俺には気付かずに、

「高校生の時は、相談したら名前呼んでキスしてくれたのに。…もう今は迷って、で、してくれないんですね。」
悲しそうに言ってくるから、
「あれだけ照れたくせによく言うよ。……それより有岡、ちょっと待って。その事を思い出したいんだ。」

そうだ、それを思い出さないと。

有岡の唇の柔らかさと、可愛い顔と、相談と。
そう、さっき少し思い出したけど、俺は有岡から確かに相談を受けた事があったんだ。