キスと笑顔 (tk×ar) (ページ21)

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びくっと体を震わせながら、ちゃんと目を閉じるのが可愛い。
唇が触れるとまたびくってするのが尚更可愛い。

『………もう一回、したい。』

俺がどうしようもなく体が熱くなって囁くと、ふるふるとまつ毛に涙をためながらもまた目を閉じてくれるから幾度となくキスを繰り返した。
もうどっちが悪いのか分からない。
俺をこんなに夢中にさせる有岡が悪いのか、そんな有岡に我慢できない俺が悪いのか。

先輩、やめてと有岡がそっと俺の胸を両手で押してやっとキスが終わると、
『……俺の事、好きじゃないくせに。……先輩なんて、嫌い。』
有岡がぽろぽろ涙をこぼすから思わず腕から離すと、そのままよろけながら有岡が走って教室の入り口まで行って立ち止まった。

『…………嘘、大好きです。キスしてくれてありがとうございました。』

小さな背中がそう言って走っていなくなった。
俺は呆然としてその場にずるずると座り込む。

傷つけた、ものすごく。
あんなに可愛くて明るい良い子を。
…………最悪だ。

俺は天井を見上げて強く思う。
もう2度と有岡には近付かない。
絶対に。

そして忘れようと必死になって、そのせいか今まで忘れていた。
ただ、有岡の唇の赤さと柔らかさだけはどうしても忘れられなかったけど。