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俺は有岡の顎を無理やり右手の親指と人差し指で挟んでぐいっと持ち上げて顔を上げさせた。
真っ赤な顔の有岡と間近で目が合う。
そしてそのまま両手を小さな体に回して抱きしめた。
強く。
しんとした教室。
月明かりは弱く、優しい。
『……先輩、苦しい……どきどきで、いっぱいです……。』
んっと、少し甘えるような有岡の声が聞こえてきて、もうダメだと有岡から腕を解いて、赤い唇をすっと親指でなぞった。
キスしたい。
悪い男でいいから。
そっと顔を傾けて目を閉じて有岡にキスをした。
触れるだけの、なのに甘く痺れるキスを。
こんなキスは初めてだった。
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作者名：すみれ | 作成日時：2023年6月17日 2時
