キスと笑顔 (tk×ar) (ページ18)

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どくんっと心臓が大きく鳴って、それからどくどくどくと鳴り続ける。
有岡から目が離せない。
また指先が有岡へと伸びそうになるのを何とか堪えていると、
『帰ります。相談しても先輩みたいになれそうにないから。それで先輩がいいなって思うような人には、なれなさそうだから。』
すっと有岡が立ち上がって、
『お手数おかけしました。』
ぺこっと頭を下げる。
俺はぼんやりとそれを見ていた。
仕方ない、これで終わりだ。
寂しさとほっとした気持ちになる。
有岡のつむじが可愛いなんてまだ思いながら。

……にしても、有岡って頭小さいなぁ……。

ここで俺はハッと気付いた。
有岡がずっと頭を下げている事に。

『……おい、有岡、頭上げろ！血、のぼるぞ！？』
危険だと俺が立ち上がって有岡の両肩に手のひらを置いて揺さぶると、
『……上げたくないです。だって上げたら、帰らなきゃ……。』
頑なに頭を上げずにそんな事言って最後は、

『先輩と、まだ2人きりでいたい……。』

そう言った。
また心が大きく動く。