キスと笑顔 (tk×ar) (ページ14)

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有岡はパッと顔を上げて、
『可愛い？』
目をまん丸くして聞いてくるから、
『……あー、忘れて！いや、可愛いのは可愛いけど、後輩としてっていうか。深い意味はないし！』
俺は自分の失言をうやむやにしたくて言い訳をした。

そうだ、可愛かったんだ、有岡が。
男なのに。
三木なんかより、他の女よりずっと。

『練習が終わってから、そうだな、俺のクラスで相談聞いてやるよ。それでいい？』
失言と、さらに自分のそんな有岡への気持ちをうやむやにしながら俺が先輩としてキリッと言うと、
『………はい！よろしくお願いします！』
笑顔の有岡がぺこっと頭を下げる。

頭、撫でてやりたい。

どうしてかそう思ってしまった。
なんで？うやむやにしたはずなのに。

俺は手にしたボールをじっと見つめた。
相談、受けない方がいいかも。
2人きりにならない方がいい、きっと。
だけど、有岡と2人きり。

顔を上げた有岡と目が合いながら、2人きりを想像して胸が高鳴るのを俺はどうしてもうやむやに出来ずにいた。