(20) ページ20
仕事が終わってから、話があると雄也を連れて事務所に戻る。
応接室じゃ仰々しいから俺は俺のデスクの椅子に、その隣の先輩のデスクの椅子に雄也を座らせた。
「何？車の中で話すのじゃダメだった？」
ダウンジャケットを脱ぎもせずに雄也が穏やかに聞いてくるから、
「ちゃんと向き合って話したかったから。………雄也、俺、今度新しい子につく事になった。」
引き伸ばしても仕方ないからすぐに切り出す。
目を見開いて息を飲む雄也に、
「大丈夫、雄也には俺なんかよりしっかりした人がついてくれるから。俺たちの頑張りが認められたんだ。雄也には胸を張って次のステージに行って欲しい。応援、してるから。」
笑いかけるけど声が震えていたかもしれない。
でも構わない、笑えてるなら。
雄也はどこかぼんやりとした顔になって、
「俺が有岡さんを好きになったから？邪魔になった？」
力の抜けた声で言うのに胸が締め付けられながら、
「違うよ。これは仕事だ。そして俺の夢のためだから。」
無理矢理深く笑うと、
「夢？どんな？」
と聞かれて、
「雄也と初めて会った時、ひと目で惹かれた。この子はいつか大きく羽ばたいていく、俺はその手伝いがしたいって。例え俺から離れていく事になってもいい。輝く雄也が見たいんだ。こらからもずっと。」
そう言って手を伸ばす。
雄也の頬に触れる直前で手を引っ込めて、
「それが俺の夢だよ。」
もう笑えずに言った。
泣きたい。
きっと雄也も。
最後だから分かる。
本音で気持ちを交わし合う最後だから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれ(プロフ) - zさん» zさん、これからも頑張りますので、私の描くたかありをどうぞよろしくお願いします！本当にありがとうございました！😊 (11月20日 21時) (
レス) id: c9c573acb4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - zさん» ありがとうございます！そんな風に言って頂けてとても嬉しいです。ただただたかありが好きで2人の恋を描きたいとわがままな私に優しいコメント……とても励みになります！以前もコメント頂いたのに、また頂けて嬉しすぎます🥲 (11月20日 21時) (レス) id: c9c573acb4 (このIDを非表示/違反報告)
z(プロフ) - すみれさんのたかありが大好きです！設定も言葉も心象描写も繊細で丁寧でかわいくて、新作とても嬉しいです🥲立場に小さな段差のある2人の行末が楽しみです。更新楽しみにしています！ (11月20日 15時) (レス) @page7 id: 9d63553ef9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみれ | 作成日時：2023年11月20日 1時
