エンゲージリング (yt×in) (ページ21)

今日:19 hit、昨日:14 hit、合計:6,417 hit

(21) ページ21

電話を終えた中島が、
「ごめん、突然だったから聞かれちゃったな。けど伊野尾には何も迷惑かけないから。」
やけに他人行儀に答えるから、
「全然気付かなかった。中島がそこまで親御さんと揉めてるのに。俺、恋人失格だ。」
情けなくて呆然とすると、
「家族になんか邪魔されたくない。伊野尾が俺の全部だから。……もんじゃ、焼けすぎてない？」
はぐらかす中島に、
「ホットプレート切ったから。それよりちゃんと話して？」
詰め寄ると、
「伊野尾と週末婚始めてすぐに母親には言ったんだ。許嫁を俺は受け入れないって。それで真剣に付き合ってる人がいるって。」
言われて、
「お母さんの返事は？」
聞くと黙る中島。
反対されたんだ。

きっと今までの俺なら身を引いただろう。
けど中島と週末に重ねた好きのやり取りが俺を強くしていた。

「中島、大丈夫、俺は離れない。この先俺の存在はお前に迷惑がかかる、きっと。けど俺以外でも許嫁じゃなきゃ迷惑がかかるはずだ。なら俺でもいいよな？」
男だけど、と、少し揺らぐ気持ちを手のひらにぐっと握って押し込めて、
「中島が大好きなんだ。それは何も悪くない。だから俺はこの気持ち全部でお前を守るよ。」

武器はそれだけ。
好き、その気持ちだけ。