私、術式使えないので高専やめます。【呪術廻戦】

第16話 ページ16

『…五条くん？どうしたの？』


五条くんは振り向かずずっと前をずんずん歩く。


手は繋がれているままだ。



『ね、ねぇ！五条くん！私の部屋あっちなんだけど…』



「うるせえついてこい」



『は、はい』



なぜ不機嫌なんだ。桃鉄で負けたから？



急に立ち止まる五条くんの背中に鼻をぶつけた。


『いたぁ…』


「…あのさ、」



五条くんは振り返らずに言葉を続ける。



「今日の桃鉄、楽しかったか？」



………ん？



『うん！そりゃもちろん！すごく楽しかったよ？』



「…ほんとか？」



『う、うん。みんなと仲良くなれてすごく嬉しいし、時間もあっという間に過ぎちゃうくらい楽しかったよ？』




「…そ、ならよかった」




………んんん？？？



もしかして…




『もしかして五条くん、私に絞め技したの気にしてる？』


五条くんは勢いよく振り向いた。



なんでバレたんだ…！？みたいな顔をして私を見る。



顔が真っ赤で、ちょっと、いや、かなり可愛いと思ってしまった。



「なっ！そんな、わけねーだろ！バーカ！！！アホ！！！」


『そうだよね。そんなわけないよね？』


私は笑いを堪えながら五条くんに言う。



「…楽しかったなら、よかったよ」




もしかして、五条くんは




『……私がみんなと仲良くなれればいいなと思って、今日誘ってくれたの？』



「〜〜〜！！！！！お前は！！！本当に！！！何でそういうことを全部聞くんだよ！！！バーカバーカ！！！」



当たっていたみたいだ。



私は思わず吹き出して大笑いしてしまった。


『あはっ、あははは！！！ほんと五条くん分かりやすすぎて面白いね、あーもう笑いすぎてお腹痛いし涙出てきた〜』



五条くんは目が泳いで恥ずかしそうにしている。



そんな五条くんをたまらなく可愛いと思ってしまう。



気づいたら私は背伸びして五条くんの頭を撫でていた。



『…私のために色々考えて動いてくれてありがとうね』




「…ん」



五条くんは嫌がらず撫でられているのを受け入れている。




…私はいつまで撫でていればいいのだろうか。

そろそろ足が限界だ。身長差が30cm以上ある。長時間背伸びはきつい。



「も、もういい！…部屋まで送るよ」


今日の五条くんは顔がずっと真っ赤だ。


こんなに顔を赤くして動揺するタイプだと思っていなかった。



五条くんの赤面は私だけが知っていたらいいな。



彼に特別な感情を持っていることに私はまだ気づいていなかった。

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