ネットの海には氷の少女【ヒロアカ】2 (ページ26)

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76 喋った？ページ26

[アリガトウ]

｢え｣

突然、人の声が聞こえた

女の人の声で、赤いサスペンダーを付け髪を2つに結ぶ少女や小さな女の子のような声ではなく

、赤いリップを塗り明るく染めた髪を巻く正に大人の女性を連想させる声だった

毎夜1人繁華街を彷徨うような人ではなく、知的で美学を語るような落ち着きを持つ

…峰不〇子、とでも言えばいいのだろうか

いや、峰不〇子という人間を想像したのではなく、声が近しいという意味だ

その声が聞こえたのは私の正面の方向からで、まるで脳内に語りかけるような響き方をしていた

[コッチ、ムイテ]

また聞こえた

言われた通り声のした正面側に顔を向ければ目の前には赤い瞳

頬擦りしてたからこんな近いのかと思ったが、なんで私いま目があってるんだろう

｢まさかあんた言葉わかる系蛇ー？｣

完全におふざけで話しかけてみれば予想通り言葉は返ってこない

ヴィランとかが潜んでたら面倒だとおもい視線を森の深い方に移そうとすると、蛇が今度は私の右耳の方に擦り寄ってきた

[ソウヨ]

また聞こえた

｢……は、？｣

信じられなくて、わたしは思わず素っ頓狂な声を漏らした

そして、その言葉は確かに、右耳に聞こえたのだ

恐る恐るヘビが巻きついた腕を体から遠ざけて相手の顔を見てみれば、明らかに目を細めて揶揄うような視線を向けていた

｢…趣味悪いね｣

[アラ、アンマリオドロカナイ…ツマラナイワ]

｢…はぁぁ…｣

どうやらというかなんとやら、声の主はこの不思議な蛇だったらしい

｢名前と話しかけてきた理由をどうぞ。社会人の基本だよ｣

[ ヘビニソウイウコトキクノオカシイ]

｢いいから、はやく｣

[ハイハイ、セッカチネ]

相手の話によると、この白い蛇は

名前ナシ、正確には出会った人間に付けてもらい大元の本名を教えないタイプ

とんでもなくご長寿だそうで、数百年に１回普通の蛇の恋人を作っては一生を見守るのが趣味、との事

話しかけてきた理由としては、最初は驚かすだけのイタズラのつもりだったらしいが、話してみたら意外と相性が良かったので｢飼ってほしい｣だそうだ

ん…んんん？

…｢飼ってほしい｣…？