ネットの海には氷の少女【ヒロアカ】2 (ページ14)

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64 君は鋭いページ14

「今年の4月、あいつは兵庫の山奥にある全寮制の高校に進学した｣

「え、じゃあお姉さんはまだ連絡が取れるはずで生き別れっていうのは違うんじゃ」

｢…いや、正確には進学したと嘘を伝えられた

あいつが置き手紙として置いていった内容は検索しても出てこないほど田舎の山奥に設置された、昭和初期から残る幼等部から高等部までの一貫校だと書き記されていた。

俺は真っ先にそれを疑い兵庫県の県庁まで行って学校の名前を言って調べてくれっつったんだよ

そしたらなんて言われたとおもう

『そんな名前の学校はこの兵庫県どころか日本中どこを探しても存在しません』

ってよ｣

……バッチリバレてた

そうだ、焦凍ってありえないくらい変なとこで勘が良くて疑り深いんだ

40分ちょいの小学校の入学式は嫌がるくせにクレープ食べるためなら新幹線で1時間半かかっても竹下通りに行くような子だったよこいつは

偽造国籍でこっちに入学して轟Aとしては適当な通信制にでも所属しておけば何とかなったのにそこは盲点だった

「…俺を守るとか言ったくせに、結局逃げた…逃げちまったんだよ、あいつも」

ガツンと頭を殴られたような衝撃だった

先程の悩みが一掃するほどその言葉は脳内を埋めつくした

……そうか、私がやった事は“逃げ”だったのか

そうか

あいつも逃げた、ということは他にも焦凍から逃げてしまった人がいるということ

私は双子の姉なのにも関わらず、彼の唯一にはなれずその他大勢に他ならなくなってしまったのだ

「俺は右だけで、お前の上を行く」

いつのまにか足音が聞こえ遠ざかってゆき、またひとつその方向に足音が向かい、ここから人がいなくなったことが示されていた