135 気持ち悪い ページ40
Aside
「…そっか｣
お兄ちゃんから話を聞いたあと、私はそう言葉を呟いた
早すぎる、父親と母親の殉職
それを称える世間
1人の幼い少年には、その現実はとても気持ちの悪いものだったのだろう
「…怖い」
「え？」
怖い、ただひたすらにそう思う
「…えっと…A、やっぱ聞いていい気はしないのかな｣
「…違う」
そうじゃない
「…ヒーロー社会が…怖い」
「！」
伏し目がちに私に話しかけていたお兄ちゃんの顔が
ガバッと勢いよく起き上がる
「…A？」
「…みんな…みんな…光太くんが居るって…
知ってたんでしょ…」
「…うん」
お兄ちゃんが見てたから分かるよ、私
ウォーターホースの殉職のニュース
夫婦で、お子さんもいたのにって、ニュースキャスターさん、話してたもん
「…立派だったよって、最後まで素晴らしかったよって…身内からしたらそんなん嫌なことくらい…
みんな分かるでしょ……」
「っ…」
お兄ちゃんは苦虫を噛み締めたような顔をしている
わかってる、みんながみんな少数の人間の気持ちだけで動けないことくらい
でも
「私は…こんなヒーロー…も、人間も…この社会も…怖いし…気持ち悪いよ…」
いたたまれなくなって下を向く
いつも左にサイドテールしている髪が下ろして水を吸って重くなり傾いて下を向き視界の邪魔をする
私とお兄ちゃんの2人だけの空間が、夏なのにも関わらず、冷えて、霧がかかっているようだった
するとお兄ちゃんは
「…そっか」
とだけつぶやいて、椅子から立ち上がって
テーブルを挟んで向かいの椅子に座っている
私の前まで歩いてきた
「…お兄ちゃん？」
突然のことに少し驚き彼の名前を呼ぶ
すると私の顔を覗き込むように目の前でしゃがんで
ゆっくりとこちらに目を合わせた
そして
「Aは、かっちゃんとか、麗日さんとか、
飯田くんとか、轟くんとか、
A組のみんなのことは、好き？｣
と、問いかけてきた
小さい子をあやすような、優しい声だった
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有栖 - ホークス落ちのって、大体ヒロ公安がくっつくの邪魔してくるんですけど、なんかこうゆうのって新鮮です！ (2021年4月13日 18時) (
レス) id: 470cf32f58 (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 主人公がホークスに恋してることをやっと理解しましたね！続きが楽しみです。 (2021年4月2日 2時) (レス) id: 5d193de02d (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 初めまして、私は、シオンといいます。とても素晴らしい作品だと思います。 (2021年4月2日 2時) (レス) id: 5d193de02d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ | 作成日時：2020年11月13日 17時
