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その日から彼は最低でも週に一度は彼は寝坊をした。
それからとびきりの寝癖も欠かさず。
「また、寝癖ついてる」
「マ?」
彼の頭に手を伸ばす。
「届かん…」
「あはっ、ごめんごめん」
そう言って彼は私と同じ目線になる。
鏡くらい見てくればいいのに
と思うけれど私もなんだかんだ
これが日々の小さな楽しみと化しているから
言いたくない。
いってしまうと変に真に受けてきっちりセットしてきそうだし。
私は電車に揺られ15分。
彼は自転車を走らせ15分。
それでも駅に着くまでは自転車を押しながら、私の歩幅に合わせゆっくり歩いてくれるのは彼の優しさ。
「そういえば、A髪めっちゃ伸びたね!その一つに結んでるの似合ってる。」
「えっ?…ありがと…。」
唐突だった。別れ際に大昇が言った。
心臓に悪い。こういうの咄嗟にストレートに突っ込んでくるからほんと彼って人は。
けれどその一言が嬉しくて胸が高なった。
私も何か言おうと考えたけれど
咄嗟に出た言葉はこれだった。
照れ隠しからなのか、
もう少し気の利いた言葉はなかったのか。
今後悔してももう遅いけれど。
「ねぇ、大昇、あのさ、彼女…とかできた?」
「…Aは?」
まもなく列車が到着します_____
タイミングが良いのか悪いのか。
大昇の眼差しに耐えられなくなった私は
その場から逃げるように改札口へ走った。
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作者名:もも | 作成日時:2020年4月28日 23時