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君に触れていられるのならば、ただそれだけで_
.
彼の顔がよく見えない。
きっといつもの優しい眼差しで見守ってくれているのだろうけれど。
あれから仲良くなった優斗先輩が頬を濡らしていることだけはよく分かった。
_
「綺麗だよ。」
彼が耳元で囁いた。
一瞬にして頬が熱を帯びていくのが分かる。
どうしてこんなこと平気で言えるのかな。
嬉しいけれど、とても嬉しいけれど
彼の言葉はいつもあまりにど直球過ぎて
私のほうが堪らなく恥ずかしくなってしまって、
彼の顔をまともに見れない。
いつもこう。彼の方が一枚上手。
でも今日はベールに包まれているのをいいことに、
「ありがとう。龍斗くんも。いつもかっこいいよ。」
なんて普段は言えない言葉を口にした。
すると、君の骨張った男らしい手が伸びてきて、私の視界を明るくした。
少し彼の頬が赤く染まっていたのは、気のせいかな。
「似合ってるよA。すごく、綺麗。」
「龍斗くんも。その…とっても…かっこいい。王子様みたい。」
誰にも聞こえないように、お互い囁くように褒め合って、笑い合った。
なんだかくすぐったくて照れ臭くて、夢のようで、あの日の出来事を思い出した。
誓いのキスを_______
この言葉を聞いて、彼は周りに茶化されながらも、綺麗な瞳で真っ直ぐ私を見つめて、またふわりと微笑んだ。
「愛してます。」
「私も。愛してます。」
君に触れるまで
わずか数センチ。
私はそっと目を閉じた。
君の頬に触れるまで。
番外編 完.
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作者名:もも | 作成日時:2018年10月14日 16時