39話 ページ6
「それで?どうしてそうなったの?」
医務室にて、蛇の様に目を細めて彼女は問うた。
その眉は若干吊り上っているようにも見える。
あれだ。小さな子供に怒る時に似ている。
するりと頰を撫でられ、むず痒さに私は身じろぎをした。
...何と答えればいいのだろうか。
今朝はぶつけたというあまりにも酷い言い訳をしてしまったが、もうその理由では通らないだろう。当たり前だ。
私が黙っているのを見かねてか、ママは口を開いた。
何故だか、その口元には笑みが浮かんでいる。
「私が当ててみましょうか?」
『(は?)』
意味が分からない、という視線をその声の主き向けた。
それに気が付いているのか否かはわからないが、ママは余裕の表情を浮かべる。
「誰かと喧嘩をした。恐らく今朝の様子からしてドンかギルダ、もしくはその両方。...かしら?」
『(...うっそでしょ)』
全部当てやがったよコイツ、と内心で口悪く思ったが、こちらの情報を悟らせないように私は眉ひとつさえ動かさなかった。
『どうしてそう思ったの?』
「そう尋ねるってことは、私の予想は当たっていたということでいいのね」
反射的に舌打ちをかますところだったが堪えた。
言葉の最後に疑問符すら入れず、彼女は私の逃げ道を簡単に潰してしまう。
冷や汗が額を滑り落ちる。
あぁ、これはかなりやばい状況だ。
咄嗟に思い浮かんだ策を、私は実行することにした。
感心したような表情を顔に貼り付けて、目線をわざと左上に上げる。
『...あー、バレちゃったぁ。流石ママ、なんでもお見通しなんだねっ』
いかにも落ち込んでます、という雰囲気を醸し出しながら無理矢理笑った。
すると彼女は眉を下げて、心配げに私をぎゅうっと優しく抱きしめてくる。
ふんわりとした彼女特有の香りが鼻を掠めて、脳内に出荷時の映像が一瞬だが流れた。
確かあの時もママは私を抱きしめてくれた。
だが、その時と今とでは状況が違う。
『(______首。今、ママは首の脈をはかってる。あと同時に手首の部分も)』
あぁ、怖い。すごく怖い。
身体全体を恐怖心が包み込むが、私は精一杯それらを落ち着かせた。
『...ママぁ、』
「なぁに?A」
『ドン達と仲直り、出来るかなぁ』
「えぇ、きっと出来るわ。だって貴女は私の自慢の子供だもの」
いい子いい子と頭を撫でてくる彼女に、私は複雑な表情を浮かべていた。
*
中途半端ですが、文字数の関係で次へ。
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あまね(プロフ) - 待ってます! (4月6日 17時) (レス) @page15 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 又拝読しに来ます.気が向いたらで構いませんので又更新して下さると嬉しいです!!コメント失礼致しました。是からもずっと大好きです応援しております!! (10月10日 13時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 久し振りにと思い読んでみたら矢張り面白くて大好きです!!着眼点返品と謂う発想も迚も面白いく良いなと思もいまし原作改変は有りますが性格など想いを凄く上手く取り込めてて本当に凄いと思いました尊敬します!! (10月10日 13時) (レス) @page15 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱー - 過去一と言っていいほど面白いです!!続き待ってます! (2023年1月2日 22時) (レス) @page15 id: 30234a0ed0 (このIDを非表示/違反報告)
匿名ちゃん(プロフ) - ああ、おもしれぇ((は? 更新再開してくださーい! (2022年7月9日 15時) (レス) id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スターフォロワー | 作成日時:2019年6月7日 22時