名前を隠した歌い手 ３【歌い手】

第83話ー手紙ー ページ4

『拝啓、これを読んでいる人へ



………“これを読んでる人”っといっても、Aか、輝くんのどっちかだと思うんだけどね！！



Aだけが読んでても、輝くんだけが読んでても、もう1人にはちゃんと見せること！




……何から書けばいいのか、わかんないけど、




まずは、ごめんなさい




多分、これを読んでるときに私はきっとココにはいない


…2人には、辛い記憶になっちゃったと、思います




謝って許されるとは思っていないけど、
ちゃんと謝らせてください




ごめんね。





A、私Aと居れて楽しかった！光のなかった私の人生で唯一の希望だったんだ



…私ね、ほんとはAが転校してくる日にこの世とバイバイしようと思ってたんだ


でも、たまたまAを見たとき、
｢…この子をこのままにしてたらいけない！｣なんて使命感が湧いてきて、


それから、Aと一緒に居て、心地よくて、嫌なことなんて全部忘れられたの



先輩たちから、酷いことされてること、気付いてあげられなくてごめんね


私といる時間がAにとっても、大好きな時間だったなら、いいなぁ…なんて笑



輝くんとも、もう1度ちゃんと向かい合うこと！
…逃げちゃったら、私みたいになるから


AはちゃんとAの道を踏みしめて
生きてください







輝くん、Aの知らないとこでたくさん色んなことを話したね！


輝くんはもうイケメンすぎて隣に並ぶのもおこがましかったけど、気にせずに話してくれて、凄く嬉しかった




この手紙を、輝くんの靴箱に入れたのは、
｢輝くんなら大丈夫｣だと思ったからなんだ



きっと、Aまで届く
私の気持ちを届けてくれる、と思ったからなんです！




輝くんは自分の気持ちを奥底に閉じ込めすぎないで
ください



たしかに、自分を隠せるのは凄いことです。

でもね、周りからしてみれば、頼りないかなぁ〜
とか、なんで我慢するのかな、なんて思ったりもするのですよ！




自分の気持ちをあの子にちゃんと伝えてください




きっと真正面から受け止めてくれるから！
私が、大好きな子だから


怖がらずに、勇気を持って！
輝くんはそれができる子なのですから！！






この手紙、傍から見れば、ただの“遺書”でしかないかもしれない。



でもねこれは、私から2人への｢啓示｣です！！


…啓示の意味よく分かんないけど





まぁ、簡単に言えば、道しるべみたいなもの！





ーーー
続きます

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