第82話 ページ3
着いたのは、家の近くの公園だった
…あの日、お母さんたちが刺された日に、2人で遊んでいた公園
「…うわぁ…懐かしい…!」
l 「ほんとに!何年ぶりだろねー!」
懐かしさとか、色々あって
2人ともテンションが上がっていくのが分かった
遊具も、いくつか撤去されてはいたものの、当時の面影が残ってて
残ってるブランコに腰かけると、キィ、と錆びた金属音がなる
…よく遊んだなぁ、なんて
___どうやってもあの時には戻れないのに
l 「…A、俺、Aに渡さないといけないものがあるんだ」
今の時間、公園で遊ぶ子供たちは、さすがにいなくて、ただ寂しい空気が流れる中、輝が話し始める
「…渡さないと、いけないもの?」
私が聞き返すと、輝はこくり、と頷いて、持ってきた鞄を漁り始める
そうやって丁寧に小さいクリアファイルから出てきたのは、一つの封筒だった
…手紙、かな?
しかも、その封筒どこかでみた、よう、な…
っ!
「ッ、それ!…それ、雪が持ってたやつと同じ、なんだけど、まさか…ッ!」
l 「………ん、そのまさか
…雪さんからの、最期の手紙」
“最期”、という言葉を聞いて頭を
胸のあたりがずきんと痛んだ
それよりも、なんでソレを輝が持ってるんだろ…
そんな気持ちが顔に出てたのか、輝は困った顔をして、笑った
…輝も、知らないのか
言葉を発してないのに、ここまで分かるのはやっぱり小さい頃からの積み重ねみたいなものだろうか
l「俺もまだ開けてない。最初にAに見せなきゃって思って
……だから、はい」
渡された手紙をゆっくりと開けていく
その時手が僅かに震えてたのは、
なんでなんだろうね
のり付されてた封をぴりぴり、と破いて、中の紙を取り出す
心臓がばくばくする
開けるのが、怖い
浮かせてた手を膝に落として、ふぅ、と息を1回吐き出して、ぎゅっと目を瞑る
…雪からの手紙。
何が書いてあっても、受け止めれる
数年間知りたくても分からなかった雪の本当の気持ちがわかるんだ
怖気付いてる、暇なんてない
「うっわ!?」
目を開けると、目の前にドアップで輝の顔があった
こつん、と額同士がぶつかる
l 「__…大丈夫、読み終わるまでここにいるから」
「…ん」
その言葉はじわり、と心に溶け込んでいった
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あんず - すごく引き込まれます・・・続きが早く読みたいです!!! (2019年7月15日 18時) (レス) id: dc55c39ad4 (このIDを非表示/違反報告)
((MOE.moena))(プロフ) - 歌い手さん大好きです! この作品、どんどん引き込まれちゃってやばいです……!!これからも無理せず頑張ってください♪ (2018年5月10日 1時) (レス) id: 11d29a6d34 (このIDを非表示/違反報告)
そぷ - 初めてのネット小説なのですが、とても面白い内容で吸い込まれちゃいました!!続きが楽しみです仕方ありません!すごくすごくすごくすごく読みやすいです! (2018年1月24日 10時) (レス) id: 258ff8d101 (このIDを非表示/違反報告)
梟猫(プロフ) - ましゅ**さん» わわ、そんなコメント頂けるなんて…ありがとうございます…!まだまだ拙い文章ですが、楽しんで頂けるようがんばりますね!ゆっくり更新ですが、これからも読んでくださると嬉しいです! (2017年11月23日 21時) (レス) id: 7dd05c1ed3 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ**(プロフ) - 本当に夢小説なのかと疑いたくなるほど、この作品に引き込まれました。すごい読みやすくて、自分も(恐縮ですが)一緒になって泣いたり苦しんだり、笑ったり和んだりさせていただきました。これからも頑張ってください。応援しています。 (2017年11月8日 22時) (レス) id: 60ad5bd9da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梟猫 | 作成日時:2017年5月2日 11時