第81話 ページ2
l 「…A、」
「…っ輝?!」
なんでここに、という言葉は輝に抱きしめられた衝撃で声にならなかった
「ひ、輝?」
l 「良かった、会えた…!」
ぎゅ、と背中に回された腕に力が籠るのがわかる
…えっ、と…私はどうするのが正解なんですか…
とりあえず輝の背中に腕を回して、とんとん、と軽く叩く
小さい子供をあやすように、優しく
l 「っ…」
というか、ここ、お母さんたちの前なんですけど…!
それに輝とはいえ男の子に抱きしめられるとか、
恥ずかしいしっ
顔に熱が集まってきた
「輝、1回離しt…「やだ」 やだって…子供か」
l 「子供でいいもん」
ははっ、どうしたもんか…
うーん、と迷ってると、耳元で声がした
l「なんでっ、何も言わないで1人で行ったのッ」
『…ぁ…っ
ごめん、ごめんね、不安にさせちゃったね』
聞こえた輝の声が僅かに震えてるのに気づいた
…また心配させちゃったみたいだ
学ばないな、私
叩くのをやめて、輝を抱きしめた
びっくりしたのか、輝の腕の力がふっと抜けたのがわかった
どちらともなくゆっくりお互いの身体を離す
………輝、背、伸びたなぁ
大人になって、こうやって“ちゃんと”向かい合うのは初めてで、何も見えてなかったな…なんて思った
きれいにセットされた茶色の髪が光に照らされてきらきらしてる
l 「せめて、俺には言って欲しかった…っ
俺のことが信じられなくても、言って欲しかったッ」
輝が言った苦しさが混じったその言葉は、私の胸に容赦なく突き刺さった
…私の勘違いで、ここまで追い詰めてしまったんだ
と後悔の念が広がっていく
「……あのね、私、輝とちゃんと話したい」
輝の目を真っ直ぐ見てそう言えば、輝は間を置いてこくりと頷いた
その姿は小さい頃と変わってなくて、
変わらないものが本当にあるんだな、なんてそんな子供じみたことを思った
l 「その前に、俺もお参りしていい?」
「ん、お願いしてもいいかな」
きっとお母さんたちも喜ぶから
輝は持ってきた花を置いて、目を瞑る
………時間があいて、よいしょと立ち上がった
「…大丈夫?」
l 「うん、ちゃんと話してきたから」
行こっか、差し出された手を、ちょっと戸惑いながらもきゅっと握った
…たまにはこんなのもいいか、なんてね
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あんず - すごく引き込まれます・・・続きが早く読みたいです!!! (2019年7月15日 18時) (レス) id: dc55c39ad4 (このIDを非表示/違反報告)
((MOE.moena))(プロフ) - 歌い手さん大好きです! この作品、どんどん引き込まれちゃってやばいです……!!これからも無理せず頑張ってください♪ (2018年5月10日 1時) (レス) id: 11d29a6d34 (このIDを非表示/違反報告)
そぷ - 初めてのネット小説なのですが、とても面白い内容で吸い込まれちゃいました!!続きが楽しみです仕方ありません!すごくすごくすごくすごく読みやすいです! (2018年1月24日 10時) (レス) id: 258ff8d101 (このIDを非表示/違反報告)
梟猫(プロフ) - ましゅ**さん» わわ、そんなコメント頂けるなんて…ありがとうございます…!まだまだ拙い文章ですが、楽しんで頂けるようがんばりますね!ゆっくり更新ですが、これからも読んでくださると嬉しいです! (2017年11月23日 21時) (レス) id: 7dd05c1ed3 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ**(プロフ) - 本当に夢小説なのかと疑いたくなるほど、この作品に引き込まれました。すごい読みやすくて、自分も(恐縮ですが)一緒になって泣いたり苦しんだり、笑ったり和んだりさせていただきました。これからも頑張ってください。応援しています。 (2017年11月8日 22時) (レス) id: 60ad5bd9da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梟猫 | 作成日時:2017年5月2日 11時