何がユンギの為なのか ページ44
Aはリモートを切って、イタリアの静かな小さな島を見ていた。
A「キレイだな」
コロナの件があって、まるで、その島を散策しているように見れたりするようになっている。
ユンギと病院に暫く籠っていたから、たまにユンギとパソコンの中で、旅行していたりしていたのだけれど、ユンギもこの小さな島は気に入っていた。
そこの小さなお城で、結婚式を挙げたいななんて一人で思っていた。
ユンギはそんな事考えていないんだろうけど。
ユンギ「何見てるの？」
急に、後ろから、ユンギが顔を出す。
A「ほら、ここ。前に行きたいねって言ってた。」
ユンギ「うん。綺麗だね。本当はこの辺行きたかったんだけどな〜。」
A「僕もだけど、一応、君は療養中だから、また、韓国に近く帰って、事務所の人とも話さないと。」
ユンギ「俺、アイドルで、有名人だったんだよね。曲、いっぱい書いて。」
不安そうにするユンギ。
ああ、、やっぱり、ユンギは元の自分に戻りたがってる。
彼の奥底で、眠り続けるユンギを呼び起こさなければ、彼の不安は無くならない。
Aは本当にこのままで居たかったけど、それがユンギの幸せではない事を感じた。
覚悟を問われているのかもしれない。
僕はやっぱり、君の側に一生居たい。
だけど、それは子供の君じゃない。
ユンギ、、。
愛してるよ。
だから、僕は決断すべきなんだね。
心の中に重い錘を抱え込んだような気持ちになる。
それから、毎日、ユンギとマスクしながらだけど、町の観光に出かけた。
タイマッサージ受けたり、大きい仏像を見に行ったり、夜に夜景を見に行ったり。
ユンギの笑顔を見ていると、このままでもと思うけど、時々、ふと、不安そうな顔を見ると
それは自分の我儘だとAを思い直させる。
そして、約束の期限が来てしまった。
事務所との話。
取り合えず一ヶ月、、。
ユンギは前と違って、１０歳ぐらいにはAも話の言動とかでは感じた。
詩も書いてるのを何度か見た。
成長はしている。
でも、間に合うにか、、。
このままでは、、。
A「ユンギ、、。もう、そろそろ、一度、韓国に戻って、ユンギの事務所と話さなければならなくなった。
先生の診察も受けなきゃならないし、、。」
そう言うと、外を見ていたユンギが、タタっと、走って来てAに抱きつく。
ユンギ「うん。大丈夫。Aが居れば、何所に居ても。又、ここに来る？」
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作者名：sumiko
| 作成日時：2020年8月30日 20時
