退行 ページ3
次の日の朝はユンギの検温で、朝、６時に起こされた。
さすがに、一緒のベットでいる訳にもいかず、欠伸をかみ殺しつつ、ソファーベッドに移ろうとしたら、ユンギの手がしっかり、僕の手首を握っている。
看護師さんに苦笑いして、諦めて、椅子に座って、検温と、血圧チェックが終わるまで、寝ぼけ眼で待つ。
看護師さん「では、８時に朝ご飯ですから。」
A「はい、、了解です、、。」
頭をユラユラ揺らしながら、寝ぼけながら、答えると、看護師さんがクスクス笑いながら、去って行く。
僕はとにかく、眠くて、ユンギの隣に潜り込む。
すると、一言も発しなかったユンギが、甘えるように寄って来るから、胸に抱いて、頭を撫ぜると、安心したように、寝息が聞こえて来た。
僕も眠りに引き込まれながら、ユンギって、知らない人には礼儀正しいのに、黙ってるなんて珍しいな、、、。何て、思っていた。
やっぱり、８時になると、ご飯が運ばれてきたみたいで、声を掛けられたけど、何て返事したのかも、分からず、そのまま、眠ってしまった。
「起きて下さい、、。あの寝るなら、どいて頂けると、助かります。」
A「え？ああ、、すいません。」
飛び起きて、そこから、移動しようとしたら、又、ユンギに腕を掴まれてしまった。
結局、ユンギが離れようとしないので、僕はユンギの隣に座って、2人で並んで、診察する事になってしまった。
ユンギと言えば、やっぱり一言も話さず、僕の手を握って、されるがまま、、。
さすがに、様子が変だと感じた。
A「ユンギ、どうしたの？」
ユンギを見て、話し掛けたが、ユンギは口を開けるだけで、声を出さなかった。
いや、出せなかった。
キム先生「ん、ん〜。一時的な失語症ですかね。」
A「何で？昨日は普通に話せてましたよ。」
僕は焦って言うけど、先生は首を振るばかりで、、。
ユンギはそれ以上は話そうともせず、僕に抱きついて離れない。
結局、そんな調子だから、トイレも一緒、シャワーも一緒。
しかも、まるで、子供のようになってしまい、只、僕の側にくっ付いていて、先生と話も出来ない。
結局、睡眠導入剤で、ユンギを眠らせて、話をする事になった。
ボムギュに来てもらい、ユンギをみて貰って、別室で話をする。
キム先生「多分、不安感からくる退行ですかね。コンサートが終わって、緊張が抜けて、一気に心の負担が噴き出て来たのかもしれませんね。」
A「そんな、、。」
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作者名：sumiko
| 作成日時：2020年8月30日 20時
