最後の頼み ページ12
Aがボムギュに滔々切れてしまったあの日、、。
Aは仕事をキャンセルして、劉家総帥で有る祖父のいる屋敷に車を走らせていた。
祖父はいい歳で、いい加減体も弱って来て、殆どの業務は指示だけにして、今日も自宅で、点滴しながら、執務をしている。
相変わらず、元気何だか、病気なんだか、、。
祖父「おお、、A、、。どうした？今日は工場の視察じゃ無かったか？」
にこやかな表情には、Aに対する信頼と、愛情が満ち溢れている。
Aはその愛情に応えたかった。
でも、限界だ、、。
A「おじい様、、。すいません、、。もう、僕を解放してくれませんか？僕を待っていてくれた事は、、そのお気持ちは有りがたいですが、僕には荷が重すぎます。」
祖父の顔が曇る。
「お前の能力で、重い事は無いと思ったが、、。」
A「おじい様、、。僕だって、人間です。
仕事が出来ても、心がついて行かないんです。
数学で、認められた時も、経済学に変更した時も、会社を経営してみた時も、言われた通りにしただけで、そこには、僕の意思は無かった。
おじい様が僕を認めて下さったのは嬉しかったですが、育ててくれた父が出て行くことを望んではいませんでした。」
祖父「組織は情だけでは成り立たない、、。」
辛そうに祖父が、窓の外を見る。
Aはその場に膝をついて、涙を流した。
A「父だって、立派な人でした。おじい様だって、認めていたはずなのに、、。
僕がいると、家族が狂って行くんです。
だから、７年前、家を出たんです。
もう、限界です。
おじい様のお役に立ちたかったけど、やっぱり、無理です。父を、、父を、、呼び戻して、、、。
大丈夫、、。ある程度は道筋は付けました。
もう、、お願いです、、。解放してください、、。」
祖父「今度はもう、戻って来れんぞ、、。援助も出来ん、、。」
A「大丈夫です。自分の面倒ぐらいは見れます。」
祖父「そうだな、、。あのホテルも無理やり、わしが住むように言っただけだからな、、。
アイドルのシュガとか言ったか、、そいつと行くのか？」
窓から、視線をAを戻して言う。
A「やはり、お調べになってましたか、、、。いえ、彼には彼の人生がありますから、、。僕は彼の邪魔にはなりたくない、、。」
祖父「お前はストイックだな、、。」
A「僕は臆病なだけです。」
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作者名：sumiko
| 作成日時：2020年7月20日 8時
