タカラモノ (ページ38)

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第38話ページ38

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10月14日
推薦入試前日

あの試合の後から、健水とはあまりLINEをしなくなった。
多分、私のことを彼が気遣ってくれてるんだと思う。前まですごくすごくかまちょだったから。

健水【入試終わったら電話な】

この強引な言い方も、今ではもう慣れた。

A【はいよー】

健水【とりあえず今は、頑張ってくれ。】

A【うぃ】

その日はいつもより早く寝た。

次の日

知らない学校の人がたくさん集まる中、私はひとりで自分の受験番号の席に座った。

10:00 試験開始

シャーペンを走らせる音が、せわしなく聞こえてくる。
いつもは60分なんて集中できやしないのに、この日は違っていた。

国語と英語

何となくできたかな。。
手応えはまぁまぁだった。

A【おわーりまーしたー】

健水【お疲れ！】

秒で返信が来て電車の中でびっくり

健水【俺は補習(´；ω；｀)】

A【あ～そっか。お疲れ様。】

健水【俺までソワソワしちゃって全然集中できんかった笑】

A【あらら笑】

健水【でも、無事に終わったみたいで何より！】

A【お前は親か笑】

健水【保護者です(*｀ω´*)】

A【断る】

健水【ねー無理ー！】

やっぱり気遣ってくれてたんだ。
今になったら既読も返信も秒で済む。

A【じゃあ、電話ね】

健水【うん！】

電話とかいつぶりだろう。

内心楽しみにしている自分がいた。