第33話 ページ33
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金曜日
A「健水」
彼の名前を呼ぶと、いつも間抜けな顔がこっちを向く。
明日はいよいよ選手権
相手は県大会にも出場してる結構強い学校
だけど、だからこそ、頑張って欲しくて
A「はい。手作りはお腹壊すと怖いからやめておいた。」
ポッキーに、【Believe your fellow 応援してる】
と書いたものを渡した。
それだけなのにこいつは泣きそうな顔して
健水「これなんて読むん?」
って、fellow(フェロウ)の読み方を聞いてきた。
A「フェロウね。仲間を信じろってこと。」
健水「ありがとう!ギューしたいけど突き飛ばされそうだからやめとく!」
A「よくお分かりで。」
人前でギューとか、よく言えたな。
カップルじゃあるまいし。
A「今日、上から練習見てるね。」
健水「頑張るわ。ありがとう。」
せっかくセットした前髪が、愛刃健水によってグッチャグチャにされました。
放課後
晏朱「あなたのダーリン頑張ってるね。」
A「あの人さっきから後輩笑わせてばっかりなんだけど。」
上から、サッカー部の3年生の最後の練習を見ていた。
やっぱり目につくのは、水色の練習着に身を包んだ出っ歯
一生懸命、真剣に、ボールを追いかけてた。
そうじゃない時は後輩とふざけ合ってるけど。
A「足ほっそ。」
晏朱「それね。」
そんな細い足についたちょっと男子らしい筋肉を見たら、この人も伊達にサッカーやってたわけじゃないんだなと感じる。
6時になると、みんながそれぞれ自主練を始めて
こじくんがあいつよりも先に私たちに気付いて、手を振ってくれた。
そして健水も、こっちを見あげて手を振った。
健水「俺かっこよかったー?」
A「歯が出てたー」
健水「ふざけんな笑」
明日、行きたいな。
練習見たら余計そう感じるようになった。
お家に帰ってお母さんに選手権応援しに行きたいって言ったら
「合格するなら」
という条件で、行っていいことに。
早速晏朱にLINEしたら
晏朱【行かないと見せかけて行こ!笑】
って。1人で楽しそうです。
A【わかった笑】
楽しみだな。洋服決めなきゃ。
花火の日よりも、ちょっと緊張している自分がいた。
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作者名:舞茸 | 作成日時:2017年11月11日 23時