212 ページ19
創真｢ん？何すか？先輩｣
紀ノ国｢幸平創真君。貴方は今までそうやって勝ってきたのね。瞬発的な発想力と飛び道具じみたアイディア。あと奇抜なハッタリも、かしら。でも今回はばかりはそうはいかない｣
そう言って、寧々は創真君の方を振り返る
紀ノ国「積み上げてきた時間と歴史だけが、蕎麦の美味しさを真に輝かせる。それは君には絶対に無いものだわ。『蕎麦』で私に勝てると思わないで｣
創真「…なるほど。時間と歴史っすか。わざわざ忠告どーもっす紀ノ国先輩。でも、俺は」
城一郎｢さて、創真よ。お前、十傑相手にどーやって勝つ？｣
創真｢え？どーやって勝つって、そりゃーどんなお題が来ようとその場の機転でこう、ぐいっと｣
城一郎｢ふむ。でもお前、選抜のサンマ勝負では負けたよなぁ。敗因は葉山による『香りの一点攻撃』に敵わなかった事だ｣
創真「それは…」
城一郎｢良いか？創真。これからぶつかる十傑ってのは、一芸を極めまくった連中ばかりだ。その場の機転だけじゃあ乗り切れねー勝負も出てくるだろう｣
創真「…確かに｣
そう言って考え込む創真に、城一郎はふっと…笑った
城一郎「けどなぁ、創真。お前にも連中に負けねー位に積み重ねてきた事が１つだけあるだろ？｣
創真｢積み重ねてきた事？｣
城一郎｢あぁ。それは…『定食屋であること』だよ｣
創真「俺は。俺らしい蕎麦を作るだけなんで！」
そう言って笑う創真君を見て先程まで不安そうだった皆の表情も少し柔らかくなった…が。その表情は次の創真君の行動によって一瞬で崩された
創真「いや〜！最近の製麺機はすげーな。こんな綺麗に仕上がるんだもんなぁ｣
なんと、創真君はあの寧々相手に機会打ちで勝負に出たのだ。これにより、会場中に笑いが起こる
悠姫「ゆ、幸平ぁ」
涼子「あ、諦めちゃった訳じゃ無いわよね？」
伊織「…はぁ。当たり前だろ、榊。幸平は勝負を投げ捨てる様な奴じゃない」
えりな「水樹さんの言う通りよ。幸平君は勝負を捨ててなんていない。静かに正気を窺っているのよ。それに蕎麦や饂飩の世界で手打ちという言葉が持て囃されて久しいけれど、手打ちだから美味しい訳ではないの優れた手打ちだから美味しいのよ｣
悠姫「優れた手打ち？」
陽咲乃「はい！実際に水回しだけを手作業でし、延しや包丁という作業を機械で行う名店も数多く多くあるんですよ！」
えりな「ええ。『下手な手打ちより機械打ち』という言葉は、蕎麦好きの間では常識です」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
shoko0619(プロフ) - ありがとうございます。凄く嬉しいです。 (2020年11月8日 10時) (
レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
ホルン(プロフ) - コメントありがとうございます！そう言って貰えて凄く嬉しいです。分かりました。色々あって、中々更新出来ませんでしたが才波朝陽オチで少し考えてみますね (2020年11月8日 10時) (レス) id: 7466c4a210 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - ホルンさんの小説大好きです。もしオチがあるのでしたら才波朝陽がいいです。 (2020年11月8日 8時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
