黒幕側の超高校級の？？？【１５】

633 ページ3

三王寺「それに対し、今回の犯人は放送を流して、自分の犯行を予告しました。毒殺の意義を考えると…犯人のこの派手な行動は、相当な矛盾だと思いますが」

歌舞谷「それは…そうね。まるで、『止められるなら、止めてみろ』って言う感じの予告だったわ」

前田「……これは僕の考えなんだけど。もうしかしたら、犯人は、僕達が自ら西ツインビルに来ることが目的だったんじゃないかな」

虹上「何の為にですか…？」

前田「西ツインビルの放送室は『密室』だった。この密室を僕達に認識させる為に、あの放送をして、犯行場所が西だと勘違いさせたんじゃないかと思って…。その為には、パッと見ただけじゃ分からない毒殺よりも、ナイフを持って近付く方が強烈な印象を残せるから」

空「なるほど。ですが、わざわざ西ツインビルに密室を作る事に何の意味が…」

歌舞谷「ええ。それに、私達がドアを壊した時には、あの放送室に人が居る気配は全く無かったわ」

虹上「む、矛盾じゃないですか？中に人が居ないのに密室だったのは」

三王寺「ふふ、素晴らしい。密室トリックですね！高度な推理物には必ず登場するトリックです！まぁ、真行路日さんの時にも登場しましたが」

虹上「………。」

「つまり、重要なのは放送じゃないって事だね。前田君の言っている事は大方正しいと思うよ。あの放送はただの『事件現場である密室の西放送室に生存者を引き付ける為の罠』に過ぎない。私達は犯人を捜すよりも先に、この密室トリックを解決する必要があるね」

空「(密室トリック…確かに、今回の事件は訳が分からない事ばかりでした。ですが、私達が力を合わせれば解けるはずです)…では、まずはそのトリックについて、皆さんで考えてみましょう」



―ノンストップ議論・開始―

歌舞谷「私達が西放送室に集まった時点で、犯人は既に放送室を抜け出していた…って事よね」

前田「そうなるね。でも、僕達が放送を見て移動した時間は西に居た空も居るし、わずか数分程度。時間的余裕は全く無かったはずなのに、どうやって密室を作って脱出したんだろう？」

虹上「あ…分かりました！これならどうですか？実は…あの放送は《生放送じゃなかった》んですよ！あらかじめ、撮っておいた映像を犯人は流したんです！」

空「！」

【放送室のカメラ】

空「それは違います」

BREAK!




空「いえ、虹上さん。それは有り得ません」

634→←632

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す