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「あらAちゃん、一なら今外出てるわよ?」
『…そうですか』
「帰ってくるまで待ってる?」
『いいえ、大丈夫です』
街中を走り回っても、どこにもいない。
彼が行きそうな場所は全部回ってみたつもりだけど、姿は見当たらない。
『…あ』
小さい頃、近くの大きな公園で3人でトスの練習したことがあったっけ。
中学に上がった頃にはもう行かなくなってしまったけど。
私はそこに向かって走り出した。
懐かしい光景は今も褪せていなかった。
でも
『…いない』
そこに彼の姿はない。
ただ一面、雪で真っ白なだけだった。
ローファーには雪が染み込んで
指先は悴んで。
傘なんて意味を成していない。
『もう歩けないよ…』
しゃがんでしまえば、もう動けなくなった。
少しずつ失われていく感覚。
寒い。
すごく寒い。
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作者名:すみのん。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/EnstKuro
作成日時:2017年10月7日 6時