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午前だけの部活はあっという間に終わってしまった。
私は記録ノートをつけて片付けに入ろうとした。
しかし
「Aさん、あと俺たちやるんで先上がってください」
国見ちゃんが言う。
「それにもうほとんど片付け終わってるんだよ」
次に渡。
「今日の感じだと自主練も難しいし…」
京谷。
『で、でも』
確かにほとんど大きい片付けは終わっている。
しかし選手を差し置いて自分だけ帰るのはどうしても気が引けた。
「いつもやってくれてるから今日くらいは!」
金田一。
「クリスマス、いつも3人で一緒だったじゃん。今年も一緒にクリスマスなんだろ?」
矢巾。
『あー…実は今年は3人で計画立ててないんだ。だから私ヒマで…』
そう言った瞬間、矢巾に腕を掴まれて、体育館の外に出される。
何事かと思って彼の顔を見ると、少し怒ってる。
「もしかしてまだ仲直りしてない?」
『仲直りっていうか…口きいてないし…』
「プレゼントは?去年俺に相談してきてたじゃん」
『買ったは買ったけど…徹くんに渡してもらった…』
そう言うと、少し沈黙する矢巾。
そして
「…カッコ悪」
と私に言う。
わかっているだけに心に刺さる。返す言葉も見つからない。
「俺そんな後ろばっかり向いてるお前を好きになったわけじゃないんだけど。
いつも岩泉さんのこと目で追っかけて
岩泉さんのことで泣いて怒って笑うお前が好きだったよ。
お前の原動力ってほとんど岩泉さんじゃん。
そんなお前に俺だって動かされたよ。
たぶん俺、
岩泉さんに恋してるお前がたまらなく可愛くて好きだったんだよ。
悔しいけどさ」
バカ矢巾。
あんたいつの間にそんなかっこよくなったのよ。
『矢巾、あんたかっこいいよ』
「Aに言われるならすげー嬉しい。…前言ったよな。もう少しかっこよくなったらもう一回告白するって」
『うん』
「Aがかっこいいって言ってくれたからするわ。…好きです、付き合ってください」
しっかりと私の目を見て言う矢巾。
ありがとう。私も矢巾のことが大切だよ。
『ごめんなさい。私はやっぱり岩泉一が好きです!!!』
走りなさい私。
どんなに不格好でも、醜くても。
まっすぐに手を伸ばさなければ、欲しい人は絶対に手に入らないのだから。
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作者名：すみのん。
| 作者ホームページ：https://twitter.com/EnstKuro
作成日時：2017年10月7日 6時
