23 ページ23
.
side Oikawa
「は…?旅行?」
出先から家へ戻ると、
"徹へ
パパとママは旅行に行ってきます。
テキトーに自分で何か作って食べてね
ママより"
なんてことだ。
男子高校生一人置いて旅行に行くなど。
「俺そんなに料理得意じゃないし…」
仕方ない。
今日はファミレスにでも行って何か食べよう。
ため息をついて財布を取りに部屋へ行く。
ふと目に入ったのは"一くんへ"と書かれたプレゼントの包み。
実はまだ岩ちゃんに渡してない。
中身は見てないけれど、たぶん箱の形状からして腕時計かな。
だとしたら、余計に自分の付け入る隙がない。
女の子が男に腕時計を贈る意味くらい、俺だって知ってる。
あなたの時間を束縛したい、か。
岩ちゃんはそんなこと絶対に気づかないんだろうな。
と思いながら部屋を出る。
家の鍵を閉めた時、Aのお母ちゃんに出くわした。
「あっ、こんにちは〜」
「あら徹ちゃん。どこ行くの?」
「ちょっとファミレスまで。お母ちゃんたち旅行で」
「あらぁ、それならうちで食べていきなさい。寒いんだから」
ラッキー。
素直にそう思った。
Next
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみのん。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/EnstKuro
作成日時:2017年10月7日 6時