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side Yahaba
"ただ今午後4時を持ちまして、第32回、青城祭の終了とさせていただきます"
アナウンスでどんどん人が帰っていく。
俺たちは教室を片付けて、ホームルームも終わらせて。
『ねーねー、制服着替える前に写真撮ろうよ!』
「いいね、みんな早く集まってー」
『ほら、矢巾も早く』
「…あ、うん」
担任の"はい、チーズ"という声とシャッター音。
それを3回ほど繰り返して撮影は終わった。
そして
「A」
『ん、矢巾どうしたの?』
「ちょっと、来て」
呼び出したのはベタだけど体育館の裏。
しんと静まり返ったそこは、どことなく緊張を増幅させる。
Aはきょとんとした顔で俺を見ていた。
「あのさ」
沈黙を破ったのは俺だった。
Aは『ん?』と言い、首を傾げる。
「俺」
言葉が途切れ途切れになる。
それでも言わなければと、勇気を振り絞った。
「Aのことが好き、なんだけど」
『…え』
ここまで言ってしまえば、後はもう衝動に駆られるだけだった。
Aの腕を引いて、強く抱きしめる。
彼女は固まったまま動かない。
__________ばさ。
紙袋が落ちたような音
ばっと離れ、音の方に視線を送る。
『はじめ、くん…?』
岩泉さんが、そこにいた。
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作者名:すみのん。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/EnstKuro
作成日時:2017年10月7日 6時