14 ページ14
.
side Yahaba
『矢巾ー、仕事終わった!!一緒に行こ』
「わかった」
文化祭終了の2時間前。
俺とAはようやく客引きの仕事が終わって自由時間となった。
『とりあえずごはんごはん』
「及川さんたちの所行くか?」
『うん、そうする』
階段を駆け下りて、屋台がある場所まで。
しかし
「ごっめーん、及川さんが人気すぎてたこ焼き完売しちゃったんだよね〜」
『嘘、ショック』
及川さんの客引きのおかげか、たこ焼きの売れ行きは神がかったらしい。
終了2時間前にして、全てのたこ焼きが売れたのだ。
その時
岩泉さんがAを手招きする。
彼の手には、及川さんのクラスの屋台で買ったであろうたこ焼きが。
「ホラ口あけろ」
『…うん』
岩泉さんがふーふーしたたこ焼きはAの口に入れられた。
幸せそうな顔。
もちろんたこ焼きがおいしいのもあるだろうけど、そんなことよりも岩泉さんと過ごすこの瞬間が何よりも幸せなんだろうな。
岩泉さんも心なしか、にこやかに見える。
やっぱり二人って
「両想いなんだよね、なんで気付かないのかな。いっそムカつく」
「…及川さん?」
俺の隣にいる及川さんはとても悲しそうな顔。
嗚呼、この人もか。
「そういうの死ぬ程鈍い二人ですから。でもムカつくのは同意です」
「矢巾も好きなの?」
「はい」
初めて思った。
叶わなくても、伝えたいと。
Next
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみのん。
| 作者ホームページ：https://twitter.com/EnstKuro
作成日時：2017年10月7日 6時
