不良と恋しちゃった話《平野紫耀》 (ページ5)

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◎ ページ5

*

…。

ま、まさか私、座る席を間違え…

『ご、ごめんなさｯ』

慌てて立ち上がろうとしたその時。
私を乗せた椅子が突然動いて体が宙に浮いた。

『えっ!?』

悲鳴とともにバランスを崩し
椅子ごとバタッと床に崩れ落ちる。

『いった…』

[人の椅子に勝手に座ってんじゃねーよ]というように
無表情で私が座ったままの椅子を蹴り飛ばした男子。
私がただ間違えて、一つ隣に間違えて座ってしまった本当の席の主。
たった一つですよ？たった一つなのに…

え、なに…いまのなに？

呆然とその男子を見上げる。
彼は私が椅子から落ちる様子を見届けると
自分の席に座ることもなくズカズカと友達の輪に戻っていった。

*