陸拾陸話 死んでたまるか ページ31
「お前、いいなぁあ」
妓夫太郎は、顔や体をボリボリと掻きながら宇髄さんを見る。
「その顔、いいなぁあ」
「……」
「肌もいいなぁ。シミも痣も傷もねぇんだなあ」
ボリボリ
「肉付きもいいなぁあ。俺は太れねぇんだよなぁ」
ボリボリ
「上背もあるなぁあ。縦寸が六尺は優に超えてるなぁあ」
ボリボリ
「女にも嘸かし持て囃されるんだろうなぁあ」
ボリボリと体を掻く不快な音に混じり、「ぐす、ぐす」と堕姫の泣く声も聞こえる。妓夫太郎の放つ禍々しい色と周囲の音に、私はもう既に吐きそうになっていた。
「お前もいいなぁ」
そう言うと妓夫太郎は、目線を私に向けた。
「女の柱は少ないからなあ。それにお前、稀血だなぁあ。山程の鬼がお前を狙うんだろうなぁあ」
妓夫太郎の掻く勢いは次第に増し、部屋が不快な音で充満する。
「妬ましいなああ。妬ましいなああ。死んでくれねぇかなぁあ。そりゃあもう苦しい死に方でなぁあ。生きたまま生皮剥がれたり、腹を掻っ捌かれたりそれからなぁ」
「お兄ちゃんコイツらだけじゃないのよ、まだいるの!!アタシを焼いた奴らも殺してよ、絶対!」
堕姫が宇髄さんの後ろから叫ぶ。
「アタシ一生懸命やってるのに!凄く頑張ってたのよ一人で……!!それなのにねぇ、皆で邪魔してアタシをいじめたの!!よってたかっていじめたのよォ!!」
「そうだなあ、そうだなあ。そりゃあ許せねぇなぁ。俺の可愛い妹が足りねえ頭で一生懸命やってるのを、いじめるような奴らは皆殺しだ」
すっと立ち上がった妓夫太郎は戦闘態勢に入る。今までの鬼とは比べ物にならない。一瞬でも気を抜いたら私は塵と化すだろう。負けられない。
「取り立てるぜ、俺はなぁ。やられた分は必ず取り立てる」
こんな所で
「死ぬときグルグル巡らせら。俺の名は妓夫太郎だからなああ」
死んでたまるか。
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たまごぼーろ(プロフ) - ウォルさん» ありがとうございます!テスト期間中((←ですが頑張ります! (2019年9月8日 21時) (レス) id: 69cc3fb36c (このIDを非表示/違反報告)
ウォル - 続編おめでとうございます!!! 続き楽しみにしてます((o(^∇^)o)) (2019年9月8日 19時) (レス) id: 6d590d31fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜乃茜 | 作成日時:2019年9月7日 21時