伍拾玖話 巡る ページ22
ミシッ、ドクンッと、炭治郎から音がする。もう私の声は聞こえていないだろう。目から出血するほど怒り狂っている。色は、激しい怒りを表す猩猩緋色だ。
私に出来ることはあるだろうか。
理性を失った状態の炭治郎に加勢しても、足手纏いどころか、巻き添えを食らってしまう。
見ていることしか、出来ないのかな。
炭治郎は跳ぼうとした堕姫の脚を掴み、今までにないスピードで刀を振る。避けた反動で脚がねじ斬れた。
「失われた命は回帰しない。二度と戻らない」
なんだ……。
「生身の者は、鬼のようにはいかない」
これ……。
「なぜ奪う?」
「……っ」
「なぜ命を踏みつけにする?」
"何が楽しい?何が面白い?命をなんだと思っているんだ"
なんで……。
「どうしてわからない?」
"どうして忘れる?"
なんで無惨の細胞の記憶が、私にも聞こえるの……?
『うっ……!!』
耳鳴りが酷い。頭が割れそうに痛い。
「人間だったろう、お前も。かつては、痛みや苦しみに踠いて涙を流していたはずだ」
炭治郎が喋るたびに頭がズキズキと痛む。
『も……やめて……お願い……!』
血が巡る。
「ごちゃごちゃごちゃごちゃ五月蝿いわね。昔のことなんか覚えちゃいないわ。アタシは今鬼なんだから関係ないわよ」
記憶が巡る。
「鬼は老いない。食うために金も必要ない。病気にならない。死なない。何も失わない。そして美しく強い鬼は、何をしてもいいのよ……!!」
「わかった。もういい」
『ぐっ……たん、じろ……!!』
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たまごぼーろ(プロフ) - ウォルさん» ありがとうございます!テスト期間中((←ですが頑張ります! (2019年9月8日 21時) (レス) id: 69cc3fb36c (このIDを非表示/違反報告)
ウォル - 続編おめでとうございます!!! 続き楽しみにしてます((o(^∇^)o)) (2019年9月8日 19時) (レス) id: 6d590d31fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜乃茜 | 作成日時:2019年9月7日 21時