離れた距離 ページ20
Aはパダワンやイニシエトを指導した経験はないため、多くは語れなかったが、フォースがそう予感させていた。優れた先読みの力と記憶力があり、その才能に気付いたのが彼女のマスターのシャアク・ティである。
「そう言っていただけて光栄です」
オビワンは嬉しそうに目を細める。オビワンはイニシエトの時から彼女を見てきてだいぶ変わったと思っていた。パダワン時代はよく先走っては危険な目に遭っていて、その度にマスターに怒られてはしょぼくれていた彼女がすっかり大人になり今では自分の上司だ。
それを鼻にかけることも無く自分と同じ目線になって物事を考えてくれる、誰かに寄り添う優しさは昔と変わらずでいてくれる。しかし今となっては上下関係という壁ができている。こうして生まれた距離をどう埋めるのかなど彼らには分からなかった。
「…今の時間帯は警備隊に任せて少し休みましょう。夜は私たちで警備すればいいでしょうし」
「分かりました」
Aはそうオビワンに伝える。元々この船にはパイロット達がよく使う小さな仮眠室が数部屋あり、Aはその一室を開けてベッドへ横になる。ナブーでの大騒ぎもあってか、すぐに眠ってしまった。
そうして数十分後。Aはすぐに入眠したものの何回も起きてしまうのでもう寝ずに起きていようと船の修理作業を再開する。
眠れないこと自体は彼女にとっては珍しくなかった。度重なる任務にかえって目が冴えてしまい横になるだけの日も何日もあった。
しかし今回は別の悩みの種が彼女を苦しめる。フォースの混乱が彼女を包んでいくのが嫌でもわかっていく。彼女はこの任務に当ってからずっとこの不安感に付きまとわれている。
クワイガンとオビワンの前では口が裂けても言えなかったが、もしかするとフォースの暗黒面が迫っているかもしれないと予感しているからだ。
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作者名：優 | 作成日時：2024年3月30日 21時
