深い蒼の瞳に捕まった話

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「差し支えなければ、いくつですか？」

「９２年生まれです」

「じゃ、同い年…？」

「え。下だと思ってたー！幼顔だね？あれ？久しぶりに日本人見たからかな？」

「松本さんは大人っぽいですよね」

「うーん。それはクォーターだからかも。ちょっと色素薄いでしょ？

目とか髪とか。昔から同級生の中にいると老けて見えるんだよね」

確かに。言われてみれば。肌は真っ白だし、照明に透かした髪は赤みがかっていた。

ファーストコンタクトで海外の雰囲気が似合っていると感じたのは、あながち間違いではなかった。


「どこのクォーターなんですか？国籍って？」

「…そういうプライバシーに関わること、こっちではあまり聞かない方がいいよ。血液型とか」

「あ、すみません…」

「ま、わたしは気にしないので。父がロシアとフランスのハーフで

　母が日系のアメリカと日本のハーフ。父方の祖父母はわたしが生まれる前に亡くなってるから、

　会ったことはないんですけどね。すごくきれいな目と髪の色をしていたの。

　高校上がるくらいまではすごいコンプレックスだったけど。名前も男の子みたいだし。

　でも、いまはとても気に入ってます。

　国籍は日本とフランスを持っていたんだけど、

　日本の大学に進学を決めてから日本国籍を取りました」

「さっき、リラて呼ばれてませんでした？」

「あぁ。ミドルネームがあって。リーリアといいます。リラはその愛称ですね」

「リーリアてどういう意味ですか？」

「ロシア語で百合の花、という意味。

ミドルネームが女子力高めだから、多緒てラストネームで中和していてバランスいいでしょ？」

「ふぅん。ドイツに来て長いんですか？」

「いえ、まだ1年くらいかな。最初は日本の本社に就職して、こっちに異動になったんです」

「1年でそんなドイツ語ペラペラなんすね」

「周りがそうだからね。郷に入っては郷に従え、的な。

　ドイツ人の友達や恋人をもつといいと思います」

「ドイツ語って名詞に性別があるじゃないですか、全部把握してます？」

「いや、適当に。ある程度、法則で覚えて、

　あとはdemとdenの間くらいを発音すれば、なんとかなりますよｗ」

「パッと言語が切り替わってすごいですね」

「そうかな？」


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