深い蒼の瞳に捕まった話

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「いつドイツにいらしたの？」

「夏くらい。なので言葉がまだまだわかんなくて」

「へぇ。夏、いいでしょ。日本に比べて」

「たしかに。過ごしやすかったけど、

　言葉と生活がなかなか追いつかなくて、楽しめなかったような」

「わたしはもう日本の夏は無理だと思う。あ、このビールおいしい。飲みやすい。フルーティー系」


「あ、アップルワインあるじゃん。飲みます？」

「アップルワイン？」

「ちょっと酸っぱいけど、さっぱりしてて飲みやすい。夏は炭酸で割ったりするかな。

　いまだとホットワインにしてもおいしいですよ」




「あの、お名前お伺いしても？」

「そうでしたねｗまだ名乗ってなかった。失礼。松本多緒(まつもと・たお)といいます」

「僕は柳田将洋といいます」

「どういう漢字を書きますか？」

「えっと、植物の柳に、田んぼの田、将軍の将に、太平洋の洋、です」

「ショーグンのショー…？」

「大将の将、とか」

「あー。はいはい。将棋の将だね？」

「はい。まつもとさんはどんな漢字で書きますか？」

「松本は多くて一緒」

「…？説明だいぶ端折りましたよね？」

「バレました？ｗ」

「お仕事でドイツに？」

「ええ。輸入貿易関係の仕事をしています」

「ゆにゅうぼうえき…？」

「うーん、と。まぁ、ドイツはじめ、ヨーロッパで雑貨類の買い付けをして、

　それを日本で売る仕事の、現地買い付け担当兼日本の雑貨をこっちで販売したり」


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