深い蒼の瞳に捕まった話

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「多緒は初めての海外て大学入ってから？」


多緒の長い髪を撫でるのが好き。

会う頻度はそんなに増えたわけじゃないけど、今までより距離は縮まった。

付き合い始めてすぐくらいに

家に行くと、パーカーにスウェットの部屋着で居たのは、ちょっと衝撃だった。

いままではすぐにでも出かけられるような格好してたから。

多緒曰く、もしどこか行こう、て提案されたときにすぐ出られるようにしていたらしいが

もう今日はどこも行かない。出掛けよう、て言われても行かないから、と。

家でゆっくりしたいそうです。

主導権を握られ気味です。はい。

でも、自分がくつろぐスペースにおれが居てもいいのは喜んでもいいよね？


「うーん。勉強しに行ったのは高2の夏休みのイギリスにホームステイかな。

　その前に親戚の家が世界各地にあるから、遊びに行ったりしてたよ」

「すごい。ワールドワイドなんだね」

「まぁ、そういう家に生まれたからね」

「マサは子どもの頃、家族でどこか出かけたりした？」

「うーん。本当にちっちゃい頃はあったかな。小学校入ってすぐバレーを始めたから、

　土日は練習か試合があったし、夏休みとか長い休みは合宿だったり。

　だからあんまり家族旅行はなかったかも」

「そうなんだ。じゃあ、これからは一緒にいろんなところに行こうね」

「ドイツ観光、まだしてない」

「ドイツは城が秀逸。お城、好き？」

「え？好き嫌いとか、あんまり考えたことなかった」



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