深い蒼の瞳に捕まった話

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2017

サントリーを退団し、ドイツへ。

昔の自分からしたら一番遠い選択だった。

プロになり、海外リーグへの挑戦。それがいよいよ始まる。



夏のヨーロッパは気温の割に過ごしやすい。

バカンスの時期になるとのんびりした空気が色濃くなる。



ドイツでの初戦。

まだまだコミュニケーションが取れていないと感じる。

練習の間に語学を勉強して移動も多く、そのなかで不慣れな自炊生活。

イライラしている自覚はあるが話せる相手もなく…。




ドイツに来て初めての冬

日本でもあまり雪が降らない東京で育ったので

やはり雪の日はテンションがあがってしまう。

クリスマスも近くイルミネーションで街はキラキラしていて、そして雪。

ホワイトクリスマス、て初めてかもしれない。

気分転換に粉雪が舞うなか、散歩に出掛けた。



雪はしばらくして、細かい雨に変わった。

雨は嫌いなんだ。髪がぺたってなるから。

クリスマスの出店やら、回っていたら辺りは暗くなり始めていた。

家に帰って飯にするか、したら食材買いに行かなくてはならない。

バルの灯りが点き始め、このまま外食もありだと思った。

初めて入る店。カランコロンとベルが鳴るドアを開けると既にいい匂いがしていた。

恰幅のいい男性が出てきて

「今日は貸し切りなんだ。ごめん」的なことを言われた、と思う。

まだドイツ語はうまく会話ができない。

おずおずと引き返そうとしたところで、まだベルがカランコロンと鳴り

「店長ー。雨に変わったよ。すごい寒い」とどこかアジア顔の、

でもすっかりこの土地の雰囲気をまとった女性が食材の入った袋を抱えて入ってきた。

棒立ちしてたおれをキョトンとした顔で見て

「やぱーなー？」と聞いてきた。

あ！わかる！ドイツ語で「日本人？」て聞かれたんだ。「イエス！」て元気に答えたら

ふっと吹き出して「それは英語ｗ」

恥ずかしっ。えっとドイツ語…。「やー」て言ったら

「えぇ？いまさら〜？」て笑われた。じゃあもう日本語でいいや。


「日本語話せるんですか？」

「はい」



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