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朝起きると、隣の布団で寝ていたアイツは消えていた。
早起きして、朝餉を用意してくれているらしい。やっぱりこの女、鬼殺隊よりも普通の家庭で幸せに過ごす姿の方がしっくりくる。それでも、茨の道を行くことが本人の希望なのだ。せめて俺に出来るのは、コイツを守ることぐらいだろう。
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朝餉を作り終わり、皿に盛ろうと食器棚の方を振り返ると、そこには師匠がいた。すかさず、おはようございますと挨拶すると、「はよ。皿、どれ出すんだ?」と聞かれたので、お茶碗、お椀、小皿、お魚皿を取って欲しいですと答えた。
やっぱり師匠はとても親切で、まるでお兄ちゃんみたいなので、ついつい甘えてしまう。というか、兄と私は4つ違いだったから、師匠と同い年なのでは?多分。まるで本当のお兄ちゃんだ。
受け取ったお皿に料理を盛り付けると、師匠は無言で運んでくれた。そういうとこだぞ?
朝餉を食べ終わった私達は、のんびりとした時を過ごしていた。私はもう荷物をまとめてしまっていたので、家の中はがらんとしていた。この家で過ごすのも、もしかしたら今日が最後かもしれないのだ。
師匠は少し出てくると言って、家の外に出た。恐らく鍛錬をするのだろう。仕事熱心な人だ。そういえば、師匠はどうして鬼狩りを始めたのだろう。私はそんなことを考えていた。いつか聞く機会があれば、いや、師匠が自ら教えてくれる日が来るまで聞かないでおこう。
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作者名:霜月 | 作成日時:2019年10月13日 22時