王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ28)

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売られた喧嘩は買うのが基本？ページ28

「なんだ？お前も俺に文句があるの？」

今からする例えは、あたし自身をめちゃくちゃ貶すような例え方なんだけど。

この人があたしに向ける顔は、自分の手持ちバッグの中に、自分のいちばん嫌いなものが入っていたときのすーごく嫌な顔。

その顔にすら苛立ちを覚えてまた1発かましてやろうか、とも思うがドウドウと自分をなんとか宥める。

後ろにいた末っ子すーちゃんはあたしの怒気に気づき、オロオロし始めた。

それが合図のように、嵐ちゃんもどうするのよ、と泉さんに耳打ちを始め、泉さんの顔には冷や汗が1つ。

いつも通り寝転んで居るように見える凛月くんも、その紅い瞳を興味深そうにこちらに向ける。

所謂、修羅場と言うやつだった。

あたしが何も声を発さない事に、目の前の王様は首をかしげ、またひとつ爆弾を投下する。

「結局お前は威勢が良いだけで、なんも出来ないんじゃん。」

やれやれ、とため息をつく彼に思わず大きな声を出してしまった。

『っ！！あたしは！お前って名前じゃないんですけど！？！？』

怒るとこそこ！？と目の前の王様を抜かし、ここに居るKnightsの全員が心の中で突っ込んだことをあたしは知らない。

大声を出したことに少し驚いたのか、王様もキョトンとしていた。

『あたしは神無月A！いいですか、これ以上お前って言ったら王様でも容赦なくつるし上げて泉さんに差し出してやるんだから！！！』

「なんで俺なのぉ！？こんな予測不能な王様差し出されても困るんだけど！？」

あたし達のやり取りに、何を思ったのか王様はボソッと吐き捨てるようにものを言う。

「俺のKnightsはいつから仲良しこよしの集団になったんだ。」

顔を伏せ、その表情は読み取れない。
だけれど、発する声音は大事なおもちゃを取られ泣いている小さな子供のようなものだった。

あぁ、この人は気づいていないんだ。
分からないんだ、みんながどんな思いをしてあなたを待っていたのか。

限界に達しそうだったあたしの怒りは、限界という文字を忘れさらに上へとうなぎ登り。

後ろで未だにオロオロとしてる末っ子すーちゃんの溜まってしまった涙を指で拭ってあげれば、その頬をポッと赤く染める。

くるりと振り返り胡座をかいている王様に向けてあたしは堂々と宣言をした。

『受けてたつわよ。それで見せつけてあげる…貴方が今見えていない本当のKnightsを。あたしたちが勝ったらKnightsは存続させて貰うわよ！！！』

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