王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ2)

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騎士とお姫様ページ2

彼らとあたしの挨拶は決まって向こうのだれかからのボディタッチ。

「あ～Aじゃん、おはよお…♪」

なにやら後ろから覆いかぶさってる模様。

誰だかは声を聞けばすぐに分かる。
"彼ら"の一人であるこの黒髪美少年。
朔間凛月くんは多分Knightsの中でもっともスキンシップが激しいのでは…？

『おはよう、凛月くん。珍しいね、歩いてるなんて。』

冗談めかしに笑いながら言うと彼はその紅い瞳を細めムッとし始める。
それが可愛いのだ、この人は。

「ちょっと〜？別に俺は二足歩行をしない生き物じゃないんだからね〜…？人の形をした吸血鬼♪疑うなら今すぐAの血を貰うことだってできる…♪」

はにかみながら言う彼の口元に、それとなーく八重歯(？)というなの牙がみえる。

彼はホントに牙を立てて来る勢いだから、ここで白旗をあげないと後々が怖い。

「おーい、凛月。朝から面倒ごとは辞めるのと、Aにダル絡みはよせよ〜？」

あたしに後ろから覆いかぶさる凛月くんの頭をさらに後ろから小突くのは、彼の幼なじみで苦労人こと衣更真緒くんである。

「ったく、Aを見つけた途端に降りるとか言い出すし、荷物はそこら辺に置いてっちまうし、なんなら歩くの速かったし！？…これからは1人で歩けよ、俺も楽できる〜♪」

ああ、バッグをふたつ持ってたのはそーゆーことね、と1人で納得した。

「ごめんね、ま〜くん？でもさ、Aがいたら自分で歩きたくなるよね？俺だってカッコつけたいんだもん…♪」

"だもん♪"って。
そこらの男が使うよりも、アイドルが使うために存在する言葉なのでは？

「それに〜…ゆっくり歩いてたらAすぐどっか行きそう。スタスタ歩くの速いしさ〜…俺ヘトヘト…」

『え、あたしそんなに歩くの速い…？』

普通の基準スピードで歩いてたつもりだから、頭にハテナしか生えてこないよ…？

「お前が普段から歩かないのと歩いたと思ったらゆっくりすぎるからだろー？俺はAの歩くスピード速いとは思わないし…？」

ああ、そういう事ね、とまたもや納得する。

のんびり駄べりながら歩いていれば、夢ノ咲の校門はすぐそこだった。