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ホテルから立ち去り、駅に向かおうとする道中。人通りが驚くほどないので、実質二人っきりだ。そんな中で、私は宿儺に話しかける
立ち止まって、宿儺と視線をちゃんと合わせて、大きく口を開く
『宿儺。宿儺なんか嫌いって言ったけど……あれ、嘘だから。ごめんね』
「知っている」
『なっ……あはは、相変わらずな態度で安心したよ』
いつも通りの偉そうな態度。返答にほっと胸を撫で下ろす。さっきから安心してばっかりだな、と少し可笑しくて笑う
日が暮れ始め、空が茜色に染まる中。二人の影が大きく伸びている。地面に映る影は手を繋いでおり、それを見ると嬉しいと思うと同時に、少し恥ずかしくなる
『宿儺……手、もう逃げないから離してくれないかな』
「どうだかな、口ではなんとでも言える。例えば……"俺なんか嫌いだ"という嘘とかな」
『それはさっき謝ったじゃん! あ、その仏頂面は拗ねてるなっ?! 嘘だって分かってても拗ねるもんなの?』
私がそう言えば、宿儺は「当たり前だ」と握っている手の力を少し強めてそっぽを向いた
「好きな女に嫌いと言われて、落ち込まない男はいない。それが例え真っ赤な嘘だとしても、な」
そっぽを向いた宿儺の耳は、肝試しの時と同じように赤くなっていて、握った手は先程よりも熱がこもる
今まで言われたことのないストレートな言葉に、自分の気持ちに気付いた今は、恥ずかしいとかよりも嬉しさが勝つ
にやける口元を隠しもせずに、私は宿儺をツンツンと突き『ねぇ、もう一回言って?』と言うと、宿儺は「断る」と返す
『もう一回! 主語も加えてハイ、どうぞっ!』
「断る」
『耳が真っ赤だよ〜? 恥ずかしがんないでもう一回!』
「断固拒否だ。絶対に断る」
いつも弄られている仕返しとばかりに宿儺を弄る。段々とウザくなってきたのか、宿儺はガッと手を繋いでない方の手で私の肩を掴んだ
そして自分の胸板へと抱き寄せると、耳の中に低くて甘い言葉を滑り込ませる
「愛しているぞ、A」
私は思わずぼんっと顔が赤くなる。そんな私を見て、宿儺は「お前は顔全体が赤いぞ」とケヒッと笑った。道連れにしてはオーバーキルだっ!!
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眠民。 - 完結おめでとうございます!!シロツメココロさんの作品を一気見して、一番好きな作品がこれですっっ!!虎杖推しではありますが、普通に宿儺かっこいいんだよなぁ‥。夢主ちゃんは結局どちらを選んだんですかね!?神作品ありがとうございました!!大好きです❤ (11月26日 16時) (レス) @page30 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
シロツメココロ(プロフ) - ナナ宮さん» コメントありがとうございます。まだ虎杖悠仁もあるのでまだ旅立たないでください(笑)。こちらは愛してますよォ(イケボ) (2022年6月20日 23時) (レス) id: d24c7f43b6 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ宮 - ずぎでずぅぅぅぅ!!!!(泣)ありがどうございまず!!素敵な人生でした…今なら◯ねます、本望です。こんな素晴らしい作品に出会えて幸せっす…!続きめっちゃ楽しみです!更新楽しみに待ってます! (2022年6月20日 23時) (レス) @page13 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シロツメココロ | 作成日時:2022年5月7日 12時