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#271 ページ45

その後、普段の私の様子やらなんやらを話して教室から出された私。


2人で話したい事があるらしい。


だが、私だってさんざん振り回された身だ。


出て行って下さい。


ハイわかりました、なんてなる訳がない。


私はこっそり気配を消して聞き耳を立てた。


『………んと悠哉君と。
接する態度が違うんですね』


『軽蔑しますか?』


途中から聞き取った為、殺せんせーの最初の言葉が聞こえなかったが……私と悠哉の事だろう。


内容だけ聞き取ればあまり穏やかではないが、別に特別悪い雰囲気ではなさそうだ。


『いいえ、2人の事を思ってこそだと思います。
有里さんや悠哉君では、タイプが違いますから』


『流石、ここの教師ですね。
全く持ってその通り、有里と悠哉は面白い位違うんですよ』


普通に、談笑している様に聞こえるその会話。


私と悠哉のタイプが違うなんて、考えた事も無かった。


何とも表し難い感情が私を襲う。


『有里は昔から、叱られて伸びるタイプなんですよ。
仕事上、いくつも顔を作り上げてきましたけど……。
あの子と接する時が一番難しい。
結果的には、少し冷たくする位が丁度いいんですけどね』


その後に、そうじゃないと怠けて何もしないからと付け足すお母さん。


『あの子の良い所を伸ばせるだけ伸ばしたい。
ああ見えて器用な子で、結構何でもそつなくこなすんです。
けれど傷つきやすくてね。
そのくせに、自分が傷つく道ばかり選んで進んで行くから危なっかしくて』


こんな親の本音の話、子供が聞くものじゃ無いんだろう。


けれど、聞いてしまった以上……。


私を思ってくれているお母さんの言葉に、涙せずにはいられるだろうか。


私は否だ。


別に、私と悠哉の態度の差になにか思った事は無かった。


それはきっと、私がそう思わない様に考えてくれていたからで。


けれどそんな事に気づきもしない私は、それを当たり前だと思っていた。


今日のいきなりの三者面談も、私と悠哉の事を思って……。


殺せんせーを見定めに来た、という事か。


私は天井を仰いで目を閉じ、目頭が熱くなるのを感じる。


それから、そっと。


その場を後にするのだった。

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設定タグ:暗殺教室 , 赤羽業   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年12月12日 12時

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