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お母さんを連れて殺せんせーの待機する教室へ。
入った瞬間に見える黄色い巨大タコに、お母さんは一切驚いた様子を見せなかった。
「こんなところまで、態々すみません」
「いえ、こちらも急に来てしまって迷惑だったでしょう」
そう言って綺麗な微笑みを貼り付けるお母さん。
はい、営業スマイルいただきました。
それから殺せんせーに促されて席に座った私達。
ここからだ、本題は。
「先ず、お聞きしたい事もおありでしょう。
三者面談、という形でとは言いましたが……。
私は貴方にお話したい事があり来ました」
お母さんがゆっくりとそう話し、違和感を覚えた。
貴方と、ではなく。
貴方に、と言った事に。
「その前に、貴方が知りたいと思っている事に答えましょう」
「では、お言葉に甘えて。
有里さんをこの教室に残す、という考えはありますか?」
「ちょっ、先生今私の事はいいでしょ!?」
何故、この先生は自分が教師を続けられなくなる事よりも……。
私の事を優先するのだろうか。
今の殺せんせーの発言は、
私の制止を殺せんせーは生徒が優先だと窘める。
そんな殺せんせーを見たお母さんが、急に笑い出した。
「取って食おうってんじゃないんだから、落ち着きな有里」
完璧に化けの皮剥がれたうちの母。
昔から誰かを見定める時だったり、ちゃんとした場では堅い感じから入る人だったが……。
まさかここまで早いとは。
「ごめんなさいね、先生。
貴方を訴えたりなんだりする気はないんですよ」
口に手を当てながら笑うお母さん。
私やっぱりこの人の考えてる事ぜんっぜんわかんないや。
状況についていけずにうろたえる私に理解しろと一言放つ母は。
やっぱりどう考えても何時もの私にだけ冷たいお母さんで。
だけど、したり顔で口角を上げる母は。
私の知らないお母さんだ。
「取り敢えず、有里を何処か別のところに、なんて考えは微塵もありませんよ。
うちは放任主義なんでね、何しててもこの子の自由です。
勿論、尻拭いなんて一切しませんけどね」
方眉を上げてそう言ったお母さん。
この人のキャラが全く安定してないと思うの私だけかな……。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年12月12日 12時