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その日の夕方の事だ。
自室で悠哉の勉強を見ていた私に。
……否、私達に。
「有里、悠哉。
あんた達ちょっとこっち来なさい」
仕事から帰ってきて早々、お母さんが1階からそう声をかけた。
顔を見合わせて何事かと考える私達だったが、答えが出るわけでもなく。
2人並んで下に降りた。
「なに、母さん」
リビングに入ってから悠哉が口を開く。
しかし何も答えないお母さんは、何時もご飯を食べる席に座っていて。
それから私達を向かい側に座る様促した。
「あんた達…………月が蒸発した理由と関わってるわね?」
唐突に、真っ直ぐに私達を見つめながらそう問うお母さん。
頭を鈍器で殴られたような衝撃が襲う。
「……何言ってんの?
だいたい、宇宙で起きた事にうち等が関わってるわけ」
「もう一度聞くわよ」
私の言葉に被せるお母さん。
さっきは尋ねただけだったが、今度は断定的に。
「関わってるわね」
机の上で手を組んで、試す様に私達を見る。
それは本当に突然の出来事で。
私も悠哉も、揃って何かを言うことは出来なかった。
だがそんな事、肯定しているも同然で。
お母さんは深く溜息をついた。
「……わかった。
有里、先生に三者面談したいって言っておいて」
「さ、三者面談って……いつ」
「明日」
「明日ァ!?」
「急で申し訳ないけど……。
表向きの担任なんか出してきたら家から追い出すからね」
最後に一言、威圧的に口にした。
そんなお母さんに何も言えないまま、話は済んだと会話終了。
「姉ちゃん……どうすんの?」
「……どうしよう」
耳打ちしてきた悠哉にさえろくな答えは出せないまま。
殺せんせーに電話するという選択肢すら出ないまま、私は眠れぬ夜を過ごすのだった。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年12月12日 12時